ケガをして、
「試合に出られないかもしれない」
という状況になると、
「何が何でも出る! 大丈夫だ! 絶対にできる!」
という気持ちが湧いてきます。
「出たら悪化するかもしれない。」
「でも、出たい。」
「大丈夫だ。できるはずだ。」
心の中でさまざまな不安要素が出て来るわけですから、
それを押してでも出るということは、
「自分はできる」ということを信じ切った結果なのです。
どんな競技でも、どんな場面でも、
迷いや不安があると集中したプレーができなくなります。
どうすればいいだろう?
うまくできるだろうか?
などということを考えていると、
「今、ここ」
に集中することができません。
でも、怪我を押して無理に出場するとすれば、考えることはひとつです。
「ケガをしているからこそ、自分の練習、演技を信じられた。
ある意味、このケガに感謝したい」
全日本フィギュア選手権で、
足の怪我を押して出場した宇野昌麿選手の試合後のコメントです。
すごいですね。
同じ状況になったとして、
誰がこんな言葉が言えるでしょう?
宇野選手はショートの公式練習で足を負傷していたのですが、
何も説明しないまま出場しました。
ショートの後、
「言い訳したくない。終わるまで何も言わない。」
とコメントしています。
コーチは欠場するように勧めたそうですが、
本人がどうしても出たいと。
試合の前には「過去最悪の調子」とまで言われていたので、
何か演技に迷いがあったのかもしれませんね。
怪我をしたことで迷うどころではなくなった。
演技に集中して「やり切る」しかない。
普段は飄々としていてあまり緊張もしていないように見えますが、
今回はさすがに集中して気合の入った表情をしていました。
ひょっとすると、
今回初めて「本気の自分」を知ったのかもしれません。
ケガをしたからこそ気づけることはたくさんあるのです。
まじめ・前向き・一生懸命が、もっと輝くように。