「ずっと自宅にいるとメンタルやられそうだよ…」
「やっぱ、最後はメンタルだよな」
「私ってメンタル弱いから…」
皆さん、気軽に「メンタル」という言葉を使っていますが、そもそもメンタルって何でしょう?
もともとはmentalという英単語をカタカナで表したものですね。「心理的な」「精神的な」という形容動詞です。一般的には「心理面」「精神面」という意味を含んだ名刺的な使われ方をしています。
でも、よくよく注意してみると、時と場合によって微妙に「メンタル」のニュアンスが違っていると思いませんか?
◆「メンタルやられる」という場合は、「精神面のコントロール」という意味でしょうか。
◆「最後はメンタル」と言っている時は、「勝利に対する意欲」とか「諦めない気持ち」というようなことを「メンタル」という一言で表していますね。
◆「メンタル弱い」という言い方には、「自信がない」とか「打たれ弱い」という意味を含んでいそうです。
時と場合でニュアンスが変わる「メンタル」という言葉。使う人がその人の都合やその場の思いつきで曖昧な使い方をしています。あなたはこの曖昧な言葉に心を惑わされていませんか?
「メンタル」を正しく理解すれば曖昧な言葉に影響され心を乱されることが少なくなります。もし、あなたが「メンタル」を何とかしたい!と感じているのであれば、まず中身を知りまはょう。その上で「どの要素」を「どのように」したいのかを明確にし、その上で対策を練れば良いのです。
ここでは、「メンタルの12の要素」のそれぞれがどのようなものか、簡単に説明していきます。
1.忍耐力
1-1 忍耐力とは?
「忍耐」とは「忍ぶ」「耐える」と書くとおり、嫌なことがあっても我慢できるとか、苦しみや辛さに耐えられる、そういう力のことです。
1-2 忍耐力をつけることの価値
忍耐力をつけることの価値は何でしょうか。
① 上達が早い。
苦しいことに耐えて全力を出し切れる。人が諦めるところで踏ん張れるのですから、上達のスピードは速くて当然です。
② 勝負強くなる。
苦しい場面になった時に投げ出さずに我慢できる。自分たちを信じてチャンスを待てる。なのでここ一番の勝負時に粘れるということです。
③ 信頼される人になる。
人が嫌がる事を我慢してやったり粘り強く続けられたりする人は、周りの人から頼りにされたり信用されたりします。
忍耐力をつける。強くする。ことで、チャンスの多い目標を達成しやすい人になれるのです。
1-3 忍耐力をつけるには?
忍耐力をつけるために、どのようなことをすればよいでしょうか。
① できることを毎日続ける。
小さなことを我慢して続けることで我慢と成功の習慣が身につきます。
② 先の目的を意識する。
目標を達成した先にある目的をイメージすることで、苦しい時にもうひと踏ん張りできるのです。「何のためにやっているのか?」を思い出してみましょう。自分のことだけではなく「お世話になった〇〇さんが喜んでくれる」、「大好きな△△さんが笑顔になる」など、周りの人のことまで考えると折れそうな気持ちが前向きになります。
③ プラスの言葉を使う。
「まだできる」「あと3回」など、口に出すことで自分を鼓舞しましょう。「もう無理」と思うから無理になるのであって、「できる」と思うとできるものです。
2.闘争心
2-1 闘争心とは?
「闘う」「争う」「心」つまり、闘うことへの意欲のことです。試合になるとワクワクするとか、相手が強いほど燃えるとか、闘うことそのものへの意欲の大きさを表します。
2-2 闘争心をつけることの価値
闘争心をつけることの価値は何でしょうか。
① 闘うことを楽しめる。
闘うことそのものに意欲があり、勝負を楽しめます。
② 闘いそのものに価値を感じられる。
たとえ負けたとしても力を出し切って闘ったことに誇りを持ち、次の闘いへの糧とすることができます。
③ 上達が早い。
結果を恐れず積極的にチャレンジし、勝負を挑むので経験値が上がりやすく上達が早くなります。
2-3 闘争心を身につけるには?
闘争心を身につけるために、どのようなことをすればよいでしょうか。
① ライバルを作る。
意識してライバルを設定し、常に「〇〇に勝つ」ことをイメージし、口に出し自分に聞かせます。相手との力の差がありすぎるとライバルにはなりにくいので、自分と同じぐらいか自分より少し上ぐらいの相手が理想です。
② 大きな声を出す。
お腹の底から大声を出し気持ちを高ぶらせます。
③ 闘争心の強い人のマネをする。
格闘家やスポーツ選手の姿勢や行動・言葉をマネしましょう。強い言葉や前向きの言葉を使うことが多いので、マネをして強い言葉を使い、自分に聞かせることで近づくことができます。
闘争心をつけるためのもっと具体的な方法については『日々、前向きに闘争心を燃やす』をご覧ください。
3.自己実現意欲
3-1 自己実現意欲とは?
「自分の内側から出てくる欲求を満たしたい」「自分の力を発揮したい」という内発的な意欲のことです。誰かに言われたからとか、他人に認められたいから、ではなくそれを超えた先にあるものとも言えます。
3-2 自己実現意欲を高めることの価値
① 日々の取り組みに対する意欲が増す。
「自分自身がそうしたい」と感じ自発的にやることができます。
② 本番での成功意欲が増す。
「失敗したらどうしよう…」ではなく「成功させるぞ」という意識を持てます。
③ 目標達成や成功の可能性が高まる。
日々意欲的に取り組み、本番でもうまくいくことが多くなるので自ずと目標達成や成功の可能性が高まります。
3-3 自己実現意欲を高めるには?
① 自分の価値観を知る。
世の中や他人ではなく、「自分自身が大切にしたいこと」を明確にしましょう。
② 目的を持って目標を設定する。
見せかけの目標ではなく自分にとって価値のある目的・目標設定が大事です。
③ 成功のイメージを持つ。
成功したときのイメージを鮮明に描くことで実現しやすくなります。
4.勝利意欲
4-1 勝利意欲とは?
文字通り「勝利」に対する意欲です。勝ち負けにこだわり「絶対に勝ちたい」「負けたくない」「必ず勝つ」という欲求です。
4-2 勝利意欲を高めることの価値
① 「勝ち」が必要な場面で力を発揮できる。
人生には「勝ち負け」はつきものです。勝つことは素晴らしいことですし、「真剣勝負」が相手に対する礼儀である場合もあります。
② 勝つことで手に入れられるものがある。
賞状・トロフィーや、自信・誇り、他者からの賞賛など、多くのことを手に入れられます。
③ 勝つことでさらなる成長や成功が手に入る。
勝つことで次の経験ができる、新たなステージに上がれる、新たな出会いがあるなど、次の成功につながります。
4-3 勝利意欲を高めるには?
① 勝った人を認め、誉める。
勝つことは良いことであるという価値観を持つことが必要です。
② 勝利体験をする。
勝つことの「快感」やモノを手に入れることで、勝つことへの意欲が増します。
③ 小さな「勝ち」を積み重ねる。
数を重ねることで「勝って当たり前」の感覚が身につきます。
5.自己コントロール力
5-1 自己コントロール力とは?
自分の心をコントロールする、つまり感情・欲求など、自分の心を制御する力です。
5-2 自己コントロール力をつけることの価値
① やるべき行動を取れる。
マイナス感情や遊びたい欲求に左右されずに行動できます。
② 気持ちの切り替えが早い。
緊張や失敗に左右されにくく、本番で力を発揮できます。
③ 他人との良好な関係性が築ける。
心が安定しており我儘や他者への攻撃的な言動が少ないので、好意を持たれやすいのです。
5-3 自己コントロール力を身につけるには?
① 自分を知る。
過去の自分を振り返り、うまくいった場合・いかなかった場合を分析します。
② 自分の問題点を解決する方法を探して実行する。
問題がわかれば意外と簡単に解決できるものです。
③ 意思の力に頼り過ぎず習慣化する。
今ある「悪い習慣」をなくし「良い習慣」を身につけます。
6.リラックス力
6-1 リラックス力とは?
リラックスとは、心と身体をほぐしてゆったりすることです。緊張やプレッシャーのかかる時に、意識的に自分をリラックスさせる能力のことをいいます。
6-2 リラックス力を身につけることの価値
① 体調が良くなる。
ガチガチに固まっている身体をほぐすと血流やホルモンバランスが良くなります。
② 心の調子が良くなる。
上手にリラックスできるとストレスがたまりにくくなります。
③ パフォーマンスが上がる。
適度なリラックスが高い集中力を生み出し、実力を発揮できるのです。
6-3 リラックス力を身につけるには?
① 自分のリラックス度合いを知る。
姿勢や呼吸・心拍数などを普段から意識して知っておき、乱れてきたら自分でわかるということが重要です。
② 日常的なリラックス法を実践する。
ゆったり入浴する・ストレッチや散歩をするなどです。
③ 急場のリラックス法を実践する。
姿勢を意識し、呼吸を整え、心拍数を下げます。
7.集中力
7-1 集中力とは?
あるひとつの事柄に気持ちや注意を集中させる能力のことです。
7-2 集中力をつけることの価値
① 短時間で成果が上がる。
他者と同じことを短時間でできるので、物事の習得・上達が早いです。
② 実力を発揮できる。
周りの状況に影響されず自分のことに集中できるため、実力発揮しやすいです。
③ 目標達成しやすくなる。
短時間で上達し、本番で実力発揮できるので、目標達成しやすいです。
7-3 集中力をつけるには?
① 一つの事に意識を集中する。
呼吸を整え呼吸そのものに意識を集中する、単純な計算をするなどで集中力が高まります。
② 決めた言葉や動きをする。
自分で決めた言葉や動作をルーティンとして取り入れ、普段から集中するトレーニングをしておきましょう。
③ 本番や最悪の状況を想定した練習をする。
緊張や外的要因に左右されないように、普段から本番を想定した練習を取り入れて集中する練習をしましょう。
8.自信
8-1 自信とは?
自分の能力や価値を信じることです。自分の能力を信じる「自己効力感」だけではなく、自分自身の存在価値を信じる「自己肯定感」の両方が備わっていることが、本当の意味での自信です。うまくいかないことや失敗することがあっても「自分はOK」と思えることが大事なのです。
8-2 自信をつけることの価値
① 言動が積極的になる。
失敗してもOKだと思えることで、積極的に挑戦できるようになります。
② 「やればできる」と思える。
やったことがないことに対しても「やればできるはずである」と思えるようになります。
③ 「必ずできる」と思える。
自分がやってきたことを信じ、「うまくいくはずだ」と思えるようになまります。
8-3 自信をつけるには?
① 自分にオッケーを出す。
日々自分の良いところ・いい面を見て自画自賛します。
② できたことを誉める。
ほんの小さなことでも進歩したことを認め、できたことを誉めます。
③ できることをやり続ける。
日々やり続けることで「できた自分」「続く自分」に自信がつきます。
自信をつける具体的な方法については『自信を育てる方法』をご覧ください。
9.決断力
9-1 決断力とは?
文字通り、決断する能力です。判断力との違いは、「判断しても決められない」という状態を考えるとわかります。二者択一でどちらがいいか決めるのは判断ですが、一方を「捨てる・絶つ」と決めてもう一方へ進む覚悟を決めるのは「決断」です。
9-2 決断力をつけることの価値
① チャンスを逃さなくなる。
素早く決断できることで、チャンスを捉えることができます。
② 積極的になれる。
失敗を恐れるよりも、やらなくて後悔することを避ける前向きさが身につきます。
③ 物事を早く進められる。
迷っている時間がない(短い)ため行動のペースが速いです。
9-3 決断力をつけるには?
① 自分で決める習慣をつける。
「どちらでもいい」「いつでもいい」など人任せにせず自分で決めます。
② 素早く決める練習をする。
「●秒以内に決める」「〇月〇日までに決める」など期限を決めましょう。
③ 情報収集と情報整理をする。
大きなことを決める際は、頭の中だけで考えずに紙に書いて整理整頓しましょう。
10.予測力
10-1 予測力とは?
未来に起こることを何らかの根拠に従って予め推し測る能力です。
10-2 予測力を高めることの価値
① 長期的な視野に立って物事を考えられる。
目の前のことだけではなく、5年後・10年後のことを考えた上で判断・決断ができるようになります。
② 幅広く想定できる。
いろいろなリスクを想定して準備できるため、対応力が高く失敗が少なくなります。
③ 成功の可能性が高い。
長期的な目標設定をして適切な準備ができるため、必然的に成功の可能性が高くなります。
10-3 予測力を高めるには?
① 遠い方から逆算して考える。
意識的に自分の5年後、10年後を考えそこから1年後・1ヶ月後と逆算しましょう。近づけば近づくほど具体的に鮮明に予測することができます。
② リスクや複数の可能性を想定する。
理想的な予測・計画と同時に、「もし、~だったらこうする」という、リスクや可能性を想定して計画するとより予測力が高まります。
③ 毎日、明日の予定を立てる。
予測・想定を習慣化しましょう。あらゆることを先読みするクセが身につきます。
11.判断力
11-1 判断力とは?
状況や物事を正しく理解し正当な判断をする能力のことです。決断力はある種の潔さであり正当かどうかよりも「他の可能性を絶って」決めきる能力のことをいいます。「知識や情報を集めて理解し正当な決定をする」のが判断力です。
11-2 判断力をつけることの価値
① ミスが減る。
状況に対して正しい判断ができる訳ですから、当然ミスは減ります。
② リーダーとして組織を正しい方向へ導ける。
重要で大きな判断を正しく行えると、組織全体の向かう方向性が正しくなります。
③ 素早い判断ができタイミングを逃さない。
人生においても仕事やスポーツにおいても、判断するタイミングというものがあります。瞬間な判断が重要な場面に対応できます。
11-3 判断力をつけるには?
① 知識や情報を収集する。
広く知識や情報を知っていることで正しい判断がしやすくなります。
② 現状を分析する習慣をつける。
現状に即した判断ができるため正しい判断が行えるようになります。
③ 自分で判断し選択する習慣を作る。
判断力は練習で鍛えられますから、日頃から小さな事でも自分で判断することで素早い判断ができるようになります。
12.協調性
12-1 協調性とは?
他の人と物事をうまくやっていける性質のことです。「協調」と「同調」は違うので注意が必要です。自分の意見を押し殺して周りに合わせるのが「同調」、協調はそれぞれの意見を表明しながら違いを超えて協力していくことです。
12-2 協調性を身につけることの価値
① チームや組織全体がうまくいく。
自分一人の利益だけではなく全体の利益を考えて発言・行動できる人は組織の中に欠かせない人となります。
② 立場や考え方の違う人を尊重できる。
「違い」を「悪」と考えるのではなく、違いを認めた上で分かり合って解決策を見出そうとできるので、お互いの関係性が良くなります。
③ 目標達成のために団結できる。
メンバーの協調性が高まると、目標を達成しようとする意欲が高まり、一致団結することができるようになります。
12-3 協調性を身につけるには?
① 笑顔でいる。
ブスッとしないでご機嫌でいるようにしましょう。
② 他者や他者の意見を尊重し、認める。
自分と相手の意見が違うとしても、まずは相手を認め、それから「私はこう思う」と、自分の意見を言いましょう。
③ チームや組織の目的・目標を共有する。
目指す方向性をはっきりさせることで、協力して目標を達成しようとする意欲が高まるのです。
まとめ
1.メンタルには12の要素がある。
(1)忍耐力
(2)闘争心
(3)自己実現意欲
(4)勝利意欲
(5)自己コントロール力
(6)リラックス力
(7)集中力
(8)自信
(9)決断力
(10)予測力
(11)判断力
(12)協調性
2.それぞれの意味と価値を知った上で、「どの要素」を「どのように」したいのかを明確にする。
3.自分が優先的に身につけようとする要素を明確にし、それを高める努力をすると効果が表れやすい。
メンタルという曖昧な言葉に惑わさないよう、まずは正しく理解しましょうね。
まじめ・前向き・一生懸命が、もっと輝くように。