いったい何なんだろう…と、思うような強さでした。
何があっても心が動かない。
「何かに捉われる」ということがない。
「勝つ」ことにすら捉われていない様子。
「平常心」「不動心」という言葉が似あう人です。
決勝戦で勝った瞬間にも淡々としていました。
まるで、自分が勝つことが予めわかっていたかのように。
柔道の世界選手権73kg級で、大野将平選手が優勝しました!
いつもなら、
「おめでとうございます!」
というところですが、ご本人が「当然」といった風なので、
今回ばかりはその言葉がかけにくいです。
大野選手に対して何か言葉をかけるとするならば、
「やはり優勝しましたね」
しかないかもしれません。
決勝の相手は、決勝戦の前に畳の下で待っている間、
挑発するように大野選手の方ばかり見ていました。
見ているというより「にらみつけている」ような感じ。
まだまだ人間のできていない私は、
「失礼な人だなぁ」
と思いながらその様子を見ていました。
ボクシングの選手はお互いに睨み合うようなパフォーマンスをしますが、
柔道選手で相手を睨む人を見たのは初めてでした。
でも、大野選手はまったくその挑発に乗らず、
敢えて下を向いたり横を向いたりして視線を外し、
知らん顔を決め込んでいました。
まるで「ムダなエネルギーを使いたくない」と言っている風に。
自分の目指すところだけを見据えて、
他のものはたとえ見たとしても見たという事実しかない。
聞いたとしても聞いたという事実しかない。
「高み」を見ている。
という言葉がありますが、
大野選手から感じるのは、
この春引退した元プロ野球のイチロー選手と似た空気。
普通の人間には理解できない「高み」を見ている別世界の人です。
普通の人ならプレッシャーを感じるようなところでも、
まったく感じていないように見えました。
審判の判定が取消されるという、
普通の人なら不満がメンタルに影響しそうなところでも、
表情ひとつ変えずに淡々とまた攻めていきます。
相手は「JUDO」をしていて大野選手は「柔道」をしている気がしました。
大野選手の目指すものはどんなものなのでしょう。
これから先、どんな進化をするのでしょう。
興味深々です。