人生は選択の連続です。
右に進むか左に進むか。
道が何本にも分かれていることだってあるでしよう。
そこでどの道を選択するかが、その後の人生を決定づける場合もあります。
ドーハで行われている世界陸上。
マラソンの場合、この大会に出場するということは、
その2週間前に行われるMGC(オリンピック選考会)には出場できません。
当然のことながら、
「何が何でもオリンピックに出たい」
という選手たちはMGCを選択し、世界選手権を回避します。
でも、その選択をしなかった選手もいます。
「日の丸をつけて走る」
という夢を優先し、世界選手権出場を選択した谷本観月選手は、
完走率わずか58.8%という過酷なレースを完走し、
初出場で7位入賞という素晴らしい結果を出したのです。
スタート時の気温32.7度、湿度73.3%。
これが深夜0時のことです。
日中は気温が40度を超えてしまうため深夜に行うことになったのです。
マラソンを走りやすい気温は、一般の市民ランナーで16~18度ぐらい。
ペースが速くなるほど心拍数が上がり体温が上昇するので、
一流のマラソン選手だと走りやすい気温は10度以下と言われています。
マラソンの大会が冬に行われることが多いのはこのためです。
レースはスローペースでのサバイバルレースになることが必至でした。
出だしは68人の出場選手中45位あたりに日本選手3人が固まっていました。
少しずつペースを上げ、20キロあたりでは14位に浮上。
30キロ付近からは谷本選手一人になり、
周りに誰もいない状況で前の選手を一人ずつつかまえていきます。
通常、一人で走るのは辛いものですが、
今回のコースは1周7キロのコースを6周走る周回コース。
周りの状況がよく見えるという利点があります。
前を走る選手の様子がエネルギーになったことでしょう。
何しろ68人中28人が棄権したという過酷なレース。
「あきらめないで一人ずつ抜いていけば入賞が近づいてくる」
ということが、はっきりと見えていたと思います。
「目の前にあるチャンスをものにしたかった。」
その意思の強さを感じました。
32キロで7位に浮上。
そのままゴールまで走り抜けました。
ゴールイン後のニコニコした顔がとても印象的。
初めての日の丸で世界選手権7位入賞!
自分の選択で大きな勲章を勝ち取った喜びに溢れていました。
素晴らしい選択と、心の強さを見せていただきました!