物事には何でも基礎基本というものがあります。
決まった「定型」とか、「定石」ともいいますね。
きちんとした基礎基本を知り、身につけ、
その上でそれを破っていくのが「型破り」です。
他方、「形無し」はそもそも「形(かた)」が無いという意味です。
剣道や芸道の世界に「守破離(しゅ・は・り)」という言葉があります。
これも「型破り」と似た意味を持ちます。
大好きな言葉です。
まず、師の教えを守る。
次に、それを破ってみる。
そして、そこから離れて独自のものを生み出す。
この順序でやりなさいということです。
そもそも「守」がないのに「破」はありません。
「守」があるから「破」があり、「離」になっていくのです。
私の感覚の中では、
「守守守守守守破離」
ぐらいの感じです。
まず、基礎基本。
次に、基礎基本。
そして、基礎基本。
まだまだ、基礎基本。
やっぱり、基礎基本。
もう一度、基礎基本。
その後にやっと、「もうそろそろ破ってみたら?」
と、周りに言われて破るぐらいかと。
何故そんなに「守」が続くかというと、
基礎基本を「身につける」ということは、
そんなに簡単なことではないからです。
「身につく」までにはある程度数をかけることが必要です。
例えば、何かを学ぶときに、
先生の話を一回聞けば身につくでしょうか?
NOですね。
「知る」と「わかる」「できる」、「身についている」は違うのです。
何度も聞いて完全に理解し、
自分でやって確かめてみて、
人に説明したり見本をみせたりしたときに、
相手がきちんと理解できるぐらいになれば「わかる」「できる」です。
いつ何時でも咄嗟にできるようになれば「身についている」ですね。
では、スポーツにおいて、
教えてもらったことを一回やれば身につきますか?
やはりNOです。
何度も何度も繰り返し練習し、
考えなくても身体が自然に動くまでになった状態が「身につく」です。
そこまでいって初めて基礎基本が身についたと言えますね。
どんなスポーツ、どんな競技でも、
一流の選手の動きは基本に忠実で、動きに無理もなければ無駄もないです。
流れるように美しいです。
動きが理に叶っているのです。
そこまで行けば、仮に型を破って新しいやり方に挑戦しても、
うまくいく可能性が高いですよね。
基礎基本がないのに派手な技や目新しい技に挑戦しても、
怪我をするのが落ちですね。
それを、形無しと言います。
「形無し」にならないように心してかかりましょう。
まじめ・前向き・一生懸命に。