『君ならできる』
昨日亡くなられた小出義雄さんの著作の題名です。
高橋尚子選手がシドニーオリンピックに出場する直前に発行されています。
オリンピックで金メダルを取ったから書いた本ではなく、
行く前から書いていて直前に発行というのがすごいですね。
よほどの確信がないとできないことです。
高橋尚子さんがインタビューに応えて、
「小出監督に言われると、何だかできる気がしてくるんです」
と、言われていました。
選手を「できる気にさせる」。
つまり、
選手の中にできるイメージを持たせていく。
すばらしいイメージトレーニングのできる監督さんですね。
小出さんをご存知ない方のために説明を少し。
シドーニーオリンピック女子マラソン金メダルの高橋尚子選手はもちろん、
1992年バルセロナオリンピック銀メダル、
1996年アトランタオリンピック銅メダルと、
2大会連続してマラソンでメダルを取った有森裕子さんも、
小出監督が指導されていました。
1997年のアテネ世界陸上マラソン金メダルの鈴木博美選手もそうです。
日本の女子マラソン界の礎を築かれました。
オリンピックで3大会連続メダル!!
しかも高橋さんも有森さんも大学時代はほぼ無名だったのです。
選手の才能を見極め、「できる」と言い続けてハードな練習を課し、
次々と結果を出させていく。
すごい指導者です。
あくまで外側から見た印象ですが、
小出監督は、
いつもニコニコしていて、いつも選手を誉めている人。
という印象がありました。
決して怒ったり怒鳴ったりして無理にやらせているわけではない。
厚い信頼関係を築き、選手が喜んでついていく。
そんな印象の方です。
マラソン練習は、とんでもない高地トレーニングをしたりするので、
選手はたぶん命がけだっただろうと思います。
監督自身も常に人生を賭けるぐらいの覚悟で、
ギリギリの練習メニューを課していたのでしょう。
そんな中で監督がピリピリした人だったら、
選手は精神的にどんどん追い詰められてしまいます。
でも、
監督がいつもニコニコしていて、お酒を飲んではヘラヘラしている、
「ちょっととぼけた人」だったことで、
選手たちは救われたのではないでしょうか。
苦しい練習の中に笑顔になれる瞬間があったのではないか、
だからどんなに厳しい練習にもついていけたのではないか、
という気がします。
そして、
「君は〇〇なところがいいね」
「オリンピックでメダルが取れるよ」
「君ならできる」
と、誉めてその気にさせる。
小出監督の冥福をお祈りしつつ、
もう一度『君ならできる』を読み返し、
小出ワールドを学びたいと思います。
まじめ・前向き・一生懸命が、もっと輝くように。