今日は剣道の稽古に参加してきました。
『稽古』という言葉は、スポーツではあまり使いませんね。
「お稽古事」という言葉があるように、
芸事や武道など、師匠から何かを習う場合に『稽古』という言葉を使います。
剣道の稽古には決まった手順があります。
「礼に始まって礼に終わる」と言われるように、
挨拶を大事にするのです。
いわゆるスポーツとはちょっと違うところがありますね。
まず最初に整列します。
スポーツなら円陣を組んだりするような場面で、
必ず整列して正座をするのです。
そして、黙想です。
目をつぶって静かに呼吸をし、心を整えます。
黙想が終わったら礼です。
「お願いします」
と、その日の稽古をしていただく相手の方々にご挨拶します。
身体を動かすのはそれからです。
終わる時にも手順があります。
整列して正座をし、面を外します。
そして黙想をして心を整え、礼をします。
「ありがとうございました」
最後もやっぱり挨拶です。
全体で礼をして稽古が終了してからも、個人個人で挨拶をします。
その日、稽古(一対一の立ち合い)をした相手の方と挨拶をするのです。
立ったままの場合もありますが、
丁寧にする時はお互いに正座で対面し、
「ありがとうございました」
と言って手をついて礼をします。
下の立場の者が一方的にお礼を言うのではなく、
お互いにお礼を言い合うのです。
「ありがとうございます」
という言葉は相手を受け入れ認める言葉です。
メンタルトレーニングでいうと「肯定的なストローク」です。
最初にお礼を言い合うことで自己肯定感が上がります。
その後、技術的なアドバイスです。
「こういうところが良くなかったけれど、こうするともっと良くなるよ」
とか、
「あの場面ではこうだったけれど、こうしたらもっと良かったよ」
というアドバイスをいただきます。
「良くなかった」「ダメだった」で終わることはまずありません。
「こうすれば良くなる」で締めくくられることが多いです。
部分否定をし、プラスに変換して伝えていただけるのです。
「ありがとう」とアドバイスの間に、
「あの面が良かった!」
とか、
「まいりました」
などの誉め言葉が入ることもあります。
誉められると自己効力感が上がりますね。
最後にもう一度、お互いに、
「ありがとうございました」
と礼をして、挨拶が終わります。
メンタルトレーニングの手法が絶妙な順序で取り入れられています。
慣習的に行われていることなので無意識にやっていましたが、
よくよく考えてみると、挨拶はとても良いシステムです。
厳しい稽古で闘争心や忍耐力をつけるだけでなく、
前後の黙想で心を整え、
挨拶で自己肯定感や自己効力感も上がるようにできているんですね。
「剣は心なり」
という言葉を改めて噛み締めました。
あなたのことに置き換えてみてくださいね。
まじめ・前向き・一生懸命が、もっと輝くように。